あなたの平和憲法を知っていますか?【Web版】

 わたしたちに何ができるのでしょうか?

わたしたちの憲法をよく知ることが何よりも大切

 わたしは、わたしたちの憲法をよく知ることが何よりも大切だと感じています。さらに言えば、「よく学び」、「よく語り合い」、「よく伝える」ことだと思います。
 多くの人がそうであるように、わたしも憲法のことに関して詳しく知らなかった一人です。でも、憲法のことを読んだり、平和を願う人たちと語り合うことをとおして、平和憲法がどれほど素晴らしく、貴重なものであるかを知りました。
 わたしたちの平和憲法は、こころある人たちの平和の願いと努力の結晶であること。世界大戦で膨大な数の人たちが戦争の犠牲になり、世界中の人たちの平和を願う思いが、国連憲章となり日本の平和憲法になったこと。日本のみならず、世界の人々にとっても貴重な憲法であることを知り、喜びとともに深く感動しました。
 オハイオ大学のチャールズ・オーバービー博士は、「第9条は、全人類への未来からの贈りものである」と言われたそうです。
 的確で素晴らしい言葉だとおもいます。実際、わたしたちの平和憲法は、世界の平和を願う人たちから尊重され、高く評価されています。平和憲法の理念がほんとうに活かされた時、戦争のない、平和な世界がひらけてくると感じられるのです。
 とにかく、まずは、平和憲法のことをよく学ぶことをお勧めします。
 参考文献のリストにあるように、よい本もたくさん出版されています。このブックレットを読まれたことをきっかけに、自分の目と耳で、そしてこころで本当のことをよく知ってくださることをこころから願っています。
 わたしは、このブックレットを書くにあたって、当然のことですが、事実に誠実に、誤ったことを書かないように努力しました。内容の正確さに関しては、何人もの専門家や識者に検証していただきました。それでも、うまく書けていないところや、誤解をうむような表現をしているかもしれません。ぜひ、自分で本当のことを知ってください。
 「真実を知ることによって、あなたは自由になれる」というような格言がありますが、憲法にもよく当てはまると思います。
 憲法の本当の姿(真実)を知ると、それが力になります。そして、多くの人たちが本当のことを知ると、それが大きな力と知恵となって、社会が変わっていきます。もちろん、平和、自由、人権などを基調とした社会へとです。
 現在、わたしたちの周りでは、誰の目からみても憲法違反と分かるようなことが、たくさんまかり通っています。平和憲法がある国とはとうてい思えないようなことが多いのが現状です。
 でもそれは、自分たちの憲法のことを知らない人が多いからだと思うのです。多くの人が本当のことを知れば知るほど、社会は正されていきます。多くの人が憲法をよく知り、何が憲法違反なのかがよく分かるようになれば、自然に正されていくのです。
 ただの理想のように聞こえるかもしれませんが、知ることが力になるのです。そこに、本当のことをよく知ることの秘密があります。

「パンドラの箱」が開くとき、みんなが憲法の本質を知る

 「日米防衛協力の指針」(新ガイドライン)の作成に関わったジョセフ・ナイ氏(当時国防次官補)は、「われわれとしては、条約改定や日本の憲法改正が必要だとは思わない。法的な枠組みまで触れると、パンドラの箱を開けることになる恐れがあるからだ」と断言したそうです。
 ナイ氏はギリシャ神話「パンドラの箱」を比喩に使ったわけですが、日本の憲法を改定しようとして、平和憲法の本当のあり方を知られてしまっては、取返しがつかなくなってしまうことを心配していることがよく分かります。(神話では、パンドラが好奇心であけてしまった箱の中から全ての「悪」が飛び出してしまい、最後に「希望」がのこりました。)
 つまり、今は「平和憲法が風前のともし火」といえるほどの危機にたっているけれども、そこには改憲派の大きなリスクもあり、多くの人が平和憲法の素晴らしさや大切さを知ってしまうと、改憲どころか、憲法違反をしながらアメリカの世界戦略に携わっていくことができなくなってしまうということです。
 大江健三郎氏、井上ひさし氏、梅原猛氏たちが主宰する「9条の会」のアピールに、「・・・この国の主権者である国民一人ひとりが、9条を持つ日本国憲法を、自分のものとして選び直し、日々行使していくことが必要です。・・・」とあります。
 「だれかの憲法」であったものを「わたしの憲法」にし、日々の暮らしに活かしていく。これはとても重要なことです。「よく知る」ことによって「わたしの憲法」になり、大切にすることができるのです。
 ジョセフ・ナイ氏たちが恐れているように「パンドラの箱」が開かれ、多くの人たちが憲法の本質を知ってしまう可能性が残されていると思います。そして「よく知る」ことによって、社会の変革が可能になるのです。
 ここにも「憲法をよく知る」ことの大切さと秘密が隠されていると思います。

平和憲法に反するものは全て無効で拘束力がない

 第98条では、憲法は国の最高の法律ですから、それに反するような法律、命令、天皇による文書、国の業務に関することなどは全て無効であり拘束力はない、と宣言しています。
 これに当てはめると、戦時法制である有事法制も、国際法に反したイラク戦争への派兵も、学校での「日の丸・君が代」の強制も・・・・・憲法に違反しているものは全て無効であり、わたしたち国民がしたがう義務は全くないと言うことです。
 憲法は国の最高法規なのですから、違反したものは無効であるのは当然のことです。しかし、こんなシンプルで当然のことが十分に知られていない、そして守られていないことが多いのです。
 ここにも「知ることの大切さ」と「知ることによる力」をみることができます。こんなに「シンプルで当然のこと」でさえ、多くの人が知ることによって、憲法が効力を発揮するようになるのです。

「平和」か「戦争」か ― だれもが選ばなければならない分岐点

 「押し付けられた憲法だから」「一度も改憲したことがないから」「一国平和主義で、国際貢献しないとよくないから」などと惑わされ、この貴重な平和憲法・9条を失ってしまう。そして、日本が再び軍事国家になり、アメリカと一緒に戦争のできる国となり、世界戦争に巻き込まれていく道が行く手にしかれています。
 また、わたしたちの平和憲法をよく知り、平和主義を活かした外交で世界の平和に貢献し、国民主権を守り、人権と福祉を大切にした国づくりをする道も開かれているのです。
 今、わたしたちは、その大きく重大な分岐点にさしかかっています。わたしたち一人ひとりの選択によって、どちらの道へ歩むことになるかが決まってくるのです。
 このことは、だれか特定の人だけにあてはまることでないことは歴然としています。憲法においてどちらの道を選ぶかによって、わたしたちの生活がまったく変わったものになってきます。もちろん、アジアを含む世界にも大きな影響があることです。
 子育てに忙しいお父さんとお母さんにも直接関わってくることです。家族や仕事のことで精一杯だし、自分たちの生活や幸せを考えていたい気持ちはよくわかります。でも、ほっておくと行きたくない道を強制的に歩まされることになりかねません。
 老若男女も関係ありません。「高齢だし、徴兵制は関係ないからよかった」なんてことはないはずです。いつも戦争では、一番苦しい思いをしたり殺されたりするのは一般市民だし、子供や老人が一番先に犠牲になってしまいます。
 もちろん、これから人生が始まる若者や学生たちにとっても、徴兵制など含めて、重大なことです。ほんの数十年前に、20歳にもならない若者たちまでが、「世界平和」や「国防」という大義名分で戦場に連れていかれました。「赤紙」とよばれる「召集令状」1枚で、過酷な軍隊にいれられ、人を殺すことを強いられました。もちろん無惨に殺された若者たちも数知れないのです。
 これは、誰もが避けて通れない重大な分岐点なのです。環境に関する活動をされている人たち。男女共同参画や人権の改善に努力されている方たち。動物愛護に関わっている人たち。こころの傷を癒そうとカウンセラーの勉強をしたり、対人援助の仕事に携わっている人たち。国際NGOなどを通して、被災地の援助や環境保全に全力をつくしている人たち・・・・・
 また、日本の「国柄」や「弱体化」を憂う人たちにも同じことが言えると思います。本当に日本人、そして日本の国のことを思うのであれば、アメリカの戦略に組み込まれ、国土が攻撃基地になり、主戦場にさえなりかねない道を強いられることを願っているわけがありません。

平和的コラボレーションによる生存と共生

 「普通の国」「押し付けられた憲法」など、偽りの理由がテレビや大メディアをとおして垂れ流され、惑わされている善良な方たちが想像以上に多くなっていると思います。でも、平和憲法の本質をよく知れば、すぐにことの重大さと平和憲法の貴重さに気づいてもらえると信じています。
 わたしたちの国は、資源もエネルギーもあまりなく、ほぼ100パーセント他国にたよっています。また、恐ろしいことですが、国の食料自給率はほんの3割ほどで、先進国では最悪の状態です。そのうえに、攻撃やテロの標的になりやすい原発が、この狭い国土に52基もあり、過疎化と都市化で、都会には何千万という人たちが密集して生活しています。
 このような状況を考慮するだけでも、「戦争できる国」または「戦争する国」になることがどれほど恐ろしく、非現実的であるかがわかります。そして、戦争できる国になるのではなく、平和を基調とした外交と世界に誇れる高度な技術などによる世界貢献をとおして、自国の生存と繁栄を図るしか道はないと思われるのです。
 世界的にも、地球温暖化、森林破壊、砂漠化、海洋汚染、水や食料危機など、環境問題だけみても、地球は瀕死の状態です。「戦争は最悪の環境破壊」だといわれていますが、そのようなことをしている余裕は、人間にはもう残されていないのです。
 争いや奪い合いでなく、平和を基調とした協働(コラボレーション)によってのみ、人間を含む全てのいのちの生存の可能性がみえてくるのです。

平和と共生への道を歩もう

 たしかに、わたしたち一人ひとりができることは小さいかもしれません。でも、すこしでも大切なことを知っている人が、まだ知らない人たちに知らせる。すこしでも行動できる人たちが、行動し表現することによって社会を良くし、次の世代を守っていく。そのことを、無力感や忙しさであきらめてしまってはいけないと思うのです。ことの重大さに気づき、ハートと希望をもって一歩一歩を踏みだすとき、かならず大きく強い働きになっていきます。
 このブックレットを読むことをきっかけに、日本国憲法が「あなたの平和憲法」になることを。そして、みんなが「よく学び」、「よく語り合い」、「よく伝える」ことによって、本当に安全で豊かな国になり、世界の平和に貢献していけることを心から願っています。
 わたしは、この大切な分岐点に来て、平和と共生の道を、みなさんと一緒に、力強く歩みたいと思っています。


注1 憲法改正国民投票法案

日本国憲法には、憲法改定のための具体的な手続きに関する国民投票法が制定されていません。そのため、改憲を急ぐ安倍内閣と与党は、審議不十分のまま、改正手続き法案を衆議院で強行採決させました。(
2007413日)この法案の特徴として、@ 国民投票に関する言論や報道活動の厳しい規制、A 最低投票率の規定がなく、国民の意思が正確に反映されにくい、B 有料広告やベレビCMなどに制約がなく、中立で公正な情報が保障されない、C 国民投票の発議から投票までの期間(国民が改憲に関する理解や議論をするための時間)が短い、など多くの問題点が含まれています。国民投票法(憲法改正手続き法)が成立したことによって、20105月から改憲の発議が可能になりました。


注2 共謀罪

「共謀罪」とは、犯罪行為をおこなわなくとも、話し合い、合意しただけで処罰できる法律で、国会で新設が再審議されようとしています。これは国際的犯罪や重大な犯罪だけに限られず、一般市民が単に疑わしいとか、悪いことを考えているとされるだけで処罰される可能性のあるものです。実際に犯罪行為を行わなくとも逮捕・処罰されるため、憲法の保障する言論・表現の自由や近代刑法の原則が否定されることになります。もうすでに制定されている「盗聴法」とともに、国家が国民の言論や思想まで監視し、処罰する監視国家が構築されようとしていると言えるでしょう。


 


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