1 はじめに

ついこの間まで、国会、政党、財界、マスコミなどで、急に湧き出したかのように、改憲の必要性に関するさまざまな議論が飛びかっていました。

「押し付けられた憲法だから・・」

「国際貢献のために・・・」

「今の社会情勢にそぐわないから・・・」

「今まで一度も改憲されたことがないから」

「軍隊を持っているのが普通だから・・・」などなど。

そして、与党の強行採決によって、2007年の4月13日に国民投票法(憲法改正手続き法)が成立し、2010年5月から改憲の発議が可能になりました。

申し合わせたかのように、マスコミの報道も少なくなり、最近では「憲法」に関しての沈黙が続いています。

このままの流れだと、早くて2010年には、憲法の改定のための国民投票がおこなわれることになります。

改憲の焦点は「戦争の放棄」を定めた第九条ですから、これが改定されると、「戦争を放棄して、戦争をしない国」から「戦争ができる国」に180度方向転換することになります。


憲法は国の根幹にあたるものですから、私たち国民の生活を大きく変える可能性のある重大なものです。

特に、戦争ができるようになると、「仮想敵」も増え、再び軍事国家になり、言論の統制や徴兵制が布かれることまで視野に入れる必要があります。


こんな大切なことを、知らないうちに変えられてしまっては困りますよネ。

最近は、大切な国の政策や法制に関する事柄などが、国会での十分な審議もないまま決められることがよくあります。

一般市民が十分に理解したり考えたりする時間も十分に与えられず、市民の意見や願いを考慮することなく決められることも多いだけに、ことは深刻です。


例えば、国民投票法が成立するしばらく前に、「有事法制」という10の法律が成立したことをご存知でしょうか?

これによって、政府が有事を予測した時点で、全ての公共団体と国民を戦争に強制動員することができるように成りました。

これには、「国民保護」の名の下に、国民の土地、家屋、物資などを強制的に使うこと、医療や輸送などにたずさわる労働者を強制動員すること、テレビなどの報道を規制することなども含まれます。

国民はいやおうなしに戦争への協力を強制され、協力を阻むものには懲役や罰金がかせられます。


戦時中(1938)「国家総動員法」が制定され、戦争のために、国のあらゆる人々と資源が政府の統制下におかれましたが、有事法制はこれによく似た性質のものです。

「強制疎開」「勤労動員」「学徒動員」「家屋撤去」を経験されたり、聞かれたことがあるでしょう。

とにかく、戦争を放棄し軍隊をもたないとする平和憲法をもつ国で、このような法律が作られてきているのは奇妙なことです。

有事法制は戦時法制ですから、平和憲法では許されていません。


そのうえ、改憲して「戦争をしない国」から「戦争ができる国」に変えたいのはなぜなのでしょうか?

まわりの誰もが平和を願い
「戦争しない国」であり続けて欲しいと願っているのに*・・・・・

今起こっていることを考える手だてとして、この小冊子に分かりやすくまとめてみました。

*2007年4月に実施された共同通信の世論調査では、9条を「改正する必要があるとは思わない」が44.5%で、「改正する必要がある」の二十六%を大きく上まわりました。

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